一眼レフで動画を撮る際に、使い方がわからず、いつもオート設定で撮影していませんか。「せっかくいいカメラを買ったけど、F値とかホワイトバランスとかよく分からないから、とりあえずオート」というのでは、ひじょーにもったいない。
確かにカメラ設定を間違えてしまうと、変な光のノイズが入ったり、全体的に暗い映像に仕上がってしまうため、オートの方が安心して撮れます。けれども、きちんとカメラ設定を施すことで、キレイな動画や、視聴者があっと驚く映像を撮れるようになります。
グーグル傘下のユーチューブは、チャンネル登録者1,000人以上のユーチューバーを対象に様々なイベントを開いていますが、先日ぼくが参加してきた「半日集中動画制作基礎講座」においても、同じようなユーチューバーの悩みが語られていました。5時間分の講義内容をライブツイートしておりましたので、こちらでみなさんにもシェアいたします。動画撮影時のカメラ設定を適切に行い、理想のムービー撮影ができるようになりましょう。
一眼レフで動画を撮る理由:視聴者の目線をコントロールするため
iPhoneで撮る動画と、一眼レフで撮る動画の最大の違いは「背景のボケをつくれるかどうか」です。これを難しく言うと、被写界深度をコントロールできるかどうか、とか言うわけですね。これができると、写している人をくっきりと浮かび上がらせ、視聴者の目線を1点に集められるようになります。クリエイターの思いのままに目線をコントロールできるこの技術をマスターすることこそ、一眼レフ動画を攻略する意味です。
ちなみにツイートでは被写界深度という言葉を使っていますが、これはカメラがピントを合わせられる奥行きの深さのことを言います。要は「ピントが合う奥行きが狭いもの」を「被写界深度が浅い」と言い「ピントが合う奥行きが広いもの」を「被写界深度が深い」と言います。ちょっとずつ用語になれましょう。
キレイな映像を撮り、視聴者の目線をコントロールするための4ステップ
プロの人たちが一眼レフを使うとき、必ずセッティングをするのがこの4点です。
- 絞り
- ISO感度
- シャッタースピード
- ホワイトバランス
それぞれの役割を抑え、適切にカメラをセッティングしましょう。なお、映像をコントロールするためには、レンズの調整(絞り)とカメラ本体の調整(ISO感度/シャッタースピード/ホワイトバランス)があることを覚えておくといいでしょう。それでは見ていきます。
しぼり、感度、シャッタースピード、ホワイトバランス。この4点さへ押さえとけばなんとかなる。おまけとして、フレームレート:単位時間あたり処理させるフレーム数。24P / 30P / 60P = プログレッシブ/ 60i =インタレース。
— OSA(おさ) (@osatry) 2016年11月5日
1. 絞り:レンズで、明るさと被写界深度をコントロールしよう
一眼レフを買ってる人でたくさんレンズを持っている人っていますよね?これは、遠くのものは望遠レンズ、近くのものは広角レンズが綺麗に撮れるというように、レンズの強みによってシーン別に使い分けるためです。さらに彼らは、レンズの性能が「絞り」をコントロールする上で、大事なことを知っています。この「絞り」を調整することで、映像の明るさや、背景のボケ度合いを変えられるようになります。
明るさの調節。レンズでするのがF値。ボディでするのがISO感度。
— OSA(おさ) (@osatry) 2016年11月5日
絞りはF値という数字によって表現されます。F値が小さいほど、明るく、ボケの強い動画が撮れます。その代わり、ピントが合う範囲が狭くなるため(被写界深度が浅くなるため)、写したいものが前後に動く場合は撮るのが難しくなることを覚えておきましょう。
ぼくのように被写体が動かない動画を撮る場合は、F値を小さくしたほうが背景がボケてエッジが効きます。こちらの動画はF値をコントロールして、背景を少しボカしていますね。もう少しF値を小さくすると、よりコントラストの効いた動画に仕上がります。
絞り=F値。F値が高い→暗いところで取れない→単焦点レンズはF値が低い→暗いところでも撮れる。明るい(単焦点レンズ)1.4 / 2 / 2.8 / 4 / 5 / 6 / 7 / 11 / 16 暗い(ズームレンズ)
— OSA(おさ) (@osatry) 2016年11月5日
2. ISO感度:カメラ本体で、明るさをコントロールしよう
ISO感度というのは光に対する敏感さみたいなものです。暗いところで何かを撮ろうとするときは、ISO感度を上げないと映りません。まずはF値を固定し、そのあとにISO感度で明るさを補うイメージです。ただひとつ注意したいのは、ISO感度をあげるとノイズが写真に映りこみ、見た目が悪くなります。ISO1600より大きい値は、あまり使わないようにしましょう。
ISO感度は100→12800。だいたい1600くらいまでが粒子が目立たない限界。
— OSA(おさ) (@osatry) 2016年11月5日
3. シャッタースピード:動画では調整しないようにしよう
シャッターを開いている時間を調節することでも、明るさや画像のシャープさをコントロールすることができます。
シャッタースピードについて。CMOSセンサーに何分の一秒、録をさせるか。1/50(標準), 1/60, 1/100(標準), 1/120, 1/150, 1/200, 1/250, 1/400。雨粒をひとつひとつ撮りたい場合は、シャッタースピードを上げる。被写体のスピード次第。
— OSA(おさ) (@osatry) 2016年11月5日
ただし、動画ではシャッタースピードはいじらないようしましょう。各素材のシャッタースピードは必ず統一して下さい。
写真の場合はシャッタースピードで明るさを変えてもいいけど、動画はダメ。シャッタースピードが違うものを動画でひとつに編集すると違和感が生まれるから。
— OSA(おさ) (@osatry) 2016年11月5日
4. ホワイトバランス:リアルな色を伝えよう
人間の目には無色透明に感じますが、光には色がついています。被写体には、太陽光や電球の光、蛍光灯の光などさまざまな種類の光が当たっているのです。当たっている光が違うと、カメラはその光の色を認識してしまいます。そうすると、肉眼で見ている白と、カメラのスクリーンに映っている白が、微妙に違うように映し出されてしまいます。ややこしいですね。
ホワイトバランスは、色温度(ケルビン)の調整。3200K→タングステン:オレンジ色ライト。5500K→デイライト:蛍光灯。ホワイトバランスをあえて設定するのは報道。見たものをありのままに伝えるため。
— OSA(おさ) (@osatry) 2016年11月5日
なので、肉眼で見ているリアルなものを、そのまま映像に反映させたいときはホワイトバランスを調整しましょう。
調整の仕方は簡単。ボタンを押すだけです。白い壁や白いノートなど、近くにある白いものにレンズを向けて、カメラ本体にあるホワイトバランスボタンを長押ししましょう。そうするとケルビンの値が自動的に調節されて、肉眼で見えるような映像を取れるようになります。もちろん、わざとホワイトバランスをずらすというのもテクニックです。上級者はいろいろお試しあれ。
ホワイトバランスの取り方は、使う光源を決めたあと、白い被写体に向けて、ホワイトバランス設定ボタンを押す。
— OSA(おさ) (@osatry) 2016年11月5日
まとめ
ここでご紹介しているカメラ設定を実践していただくと、多くの人に鮮明な映像をお届けし、多くの人に共感を得られる動画が撮れるようになります。最後に、それぞれの要素をもう一度確認しておきましょう。
- 絞りを調節し、映像の明るさと背景のぼかし度をコントロールする
- ISO感度を調節し、映像の明るさをコントロールする
- シャッタースピードは、動画撮影ではコントロールしない
- ホワイトバランスを調節し、リアルな色にコントロールする
これらを実践することで、一眼レフのオート設定よりも、さらに魅力的な映像を撮れるようになります。マニュアル設定を使いこなして、自分にしかない映像作品を世の中に発信しましょう。
今回のユーチューブ講座のライブツイートでは、本記事のベースとなった詳細を記載しております。ご興味がある方は下記のリンクにまとめておりますので、こちらもご参考ください。